瞑想2023

活力を高めるのはマインドフルネスか、運動か:両者の直接比較

Mindfulness Practice versus Physical Exercise in Enhancing Vitality

Yan W, Jiang Z, Zhang P, Liu G, Peng K.International Journal of Environmental Research and Public Health

論文ページを開く(doi:10.3390/ijerph20032537

活力を高める力で、瞑想は運動を上回る

Yan et al., 2023

実験内容

中国人成人71名を、ガイド付きマインドフルネス実践群と、自分で選んだ有酸素運動を実施する群に無作為に振り分け、それぞれ7日間継続。介入前(baseline)・介入直後(post)・7日後フォローアップ(follow-up)の3時点で、活力(vitality)と関連する4因子を測定し、群間で比較した。

結果

両群とも介入直後に活力の上昇が見られたが、マインドフルネス群の方が上昇幅が大きく、さらに7日後のフォローアップでもその改善が維持された一方、運動群では効果が減衰した。活力を「高めること」だけでなく「保つこと」においても、ガイド付き瞑想が自選運動を上回ったことが示された。

補足

参加者
中国人成人 71名
条件
マインドフルネス(ガイド付き) / 自選の有酸素運動
介入期間
7日間
計測時点
ベースライン / 介入直後 / 7日後フォロー
活力スコアの推移(模式)
BaselinePostFollow-up
マインドフルネス運動

Yan, W., Jiang, Z., Zhang, P., Liu, G., & Peng, K. (2023). Mindfulness Practice versus Physical Exercise in Enhancing Vitality. International Journal of Environmental Research and Public Health, 20(3), 2537. doi:10.3390/ijerph20032537

概要

「元気を出したい」「もっと活力が欲しい」と感じたとき、世間でまず勧められるのは運動である。実際、有酸素運動が活力(vitality)を高めることは多くの研究で示されてきた。しかし、マインドフルネスもまた活力を高めることが知られており、両者を同じ枠組みで直接比較した研究はこれまでほとんどなかった。本論文はこの空白を埋め、活力という主観的エネルギーを高める介入として、瞑想と運動のどちらが上回るのかを検証したものだ。

中国人成人71名がガイド付きマインドフルネス群と自選有酸素運動群に無作為に振り分けられ、それぞれ7日間継続した。介入前・介入直後・介入終了の7日後フォローアップという3時点で活力を測定することで、効果の立ち上がりだけでなく持続性も同時に評価できる設計になっている。

結果、両群ともに介入直後には活力が上昇したが、その上昇幅はマインドフルネス群の方が大きかった。さらに重要なのは7日後のフォローアップであり、マインドフルネス群ではその改善が維持されていた一方、運動群では効果が減衰した。活力を一時的に「上げる」ことよりも、「上げて保つ」ことのほうがはるかに難しい。その「保つ」フェーズで瞑想が運動を上回ったというのが本研究の中心的な発見である。

なぜマインドフルネス側が上回ったのかは、本研究単独からは決定的に語れないが、有力な解釈は二つある。一つは「ガイド付きであること」自体の効果で、自分の意志で内容を選ぶ運動と違い、ガイドされた瞑想は介入の質と一貫性が保たれやすい。もう一つは、活力という変数は身体的な代謝亢進だけでなく、内的注意の整え方や反芻からの距離のとり方によっても大きく影響を受ける、という点である。瞑想はまさにその「内的な扱い方」を訓練する。

TUNEプロジェクトは、活力を含めた主観的なコンディションを脳波という客観指標と組み合わせて捉え、瞑想を日常の「コンディショニング手段」として位置づけ直そうとしている。本論文は、活力という観点から、瞑想が運動と並ぶ、あるいは凌ぐコンディショニングであることを示す根拠として参照できる。