概要
「元気を出したい」「もっと活力が欲しい」と感じたとき、世間でまず勧められるのは運動である。実際、有酸素運動が活力(vitality)を高めることは多くの研究で示されてきた。しかし、マインドフルネスもまた活力を高めることが知られており、両者を同じ枠組みで直接比較した研究はこれまでほとんどなかった。本論文はこの空白を埋め、活力という主観的エネルギーを高める介入として、瞑想と運動のどちらが上回るのかを検証したものだ。
中国人成人71名がガイド付きマインドフルネス群と自選有酸素運動群に無作為に振り分けられ、それぞれ7日間継続した。介入前・介入直後・介入終了の7日後フォローアップという3時点で活力を測定することで、効果の立ち上がりだけでなく持続性も同時に評価できる設計になっている。
結果、両群ともに介入直後には活力が上昇したが、その上昇幅はマインドフルネス群の方が大きかった。さらに重要なのは7日後のフォローアップであり、マインドフルネス群ではその改善が維持されていた一方、運動群では効果が減衰した。活力を一時的に「上げる」ことよりも、「上げて保つ」ことのほうがはるかに難しい。その「保つ」フェーズで瞑想が運動を上回ったというのが本研究の中心的な発見である。
なぜマインドフルネス側が上回ったのかは、本研究単独からは決定的に語れないが、有力な解釈は二つある。一つは「ガイド付きであること」自体の効果で、自分の意志で内容を選ぶ運動と違い、ガイドされた瞑想は介入の質と一貫性が保たれやすい。もう一つは、活力という変数は身体的な代謝亢進だけでなく、内的注意の整え方や反芻からの距離のとり方によっても大きく影響を受ける、という点である。瞑想はまさにその「内的な扱い方」を訓練する。
TUNEプロジェクトは、活力を含めた主観的なコンディションを脳波という客観指標と組み合わせて捉え、瞑想を日常の「コンディショニング手段」として位置づけ直そうとしている。本論文は、活力という観点から、瞑想が運動と並ぶ、あるいは凌ぐコンディショニングであることを示す根拠として参照できる。