概要
ニューロフィードバック(NF)が運動の上達を後押しできるかは、スポーツやリハビリ、楽器演奏といった応用領域からの関心が高い問いである。しかし個別の研究は対象も介入も多様で、まとまった結論は出にくかった。本論文は、健常成人を対象とした運動パフォーマンス向上目的の NF 訓練の RCT を網羅的に集め、量的に統合したシステマティックレビュー・メタ分析である。
方法としては、運動パフォーマンスを主要アウトカムとする NF 訓練 RCT を体系的に検索・選定し、ランダム効果モデルで全体の効果量を推定するとともに、介入の用量(セッション数や総介入時間)と効果の関係、そして出版バイアスと研究間異質性を丁寧に評価している点が特徴である。
結果としては、NF 訓練は健常成人の運動パフォーマンスを全体として有意に改善することが確認された。さらに、改善幅は介入の用量と正の相関を示し、十分な回数・時間を確保した研究ほど大きな効果が得られていた。これは、NF を「短時間でちょっと試す」だけでは効きにくく、適切な用量を確保した訓練として組む必要があることを示唆している。
一方で、本論文はネガティブな指摘にも公平である。出版バイアスは無視できないレベルで存在し、研究間の異質性も大きい。効果に結びつく神経メカニズムも研究ごとに異なり、たとえば「どの電極部位の・どの周波数を訓練するか」の組み合わせが系統的に検討されていないことが、結果の不安定さの一因と整理されている。今後はサンプルサイズの拡大と参加者属性の多様化、そして電極部位×周波数の組み合わせの系統的な吟味が必要である、と著者らは結論する。
TUNEプロジェクトは、NF を単発のイベントではなく、用量を積みながら自分の脳波と運動・行動の対応関係を確かめていく継続的プラクティスとして位置づけている。本メタ分析は、その「用量を積めば効く/積まないと効きにくい」という運用上の前提を量的に裏付けると同時に、TUNE が取り組むべき「個人差に応じた電極部位・周波数選び」の課題も明確にしてくれる重要な現状報告である。