ニューロフィードバック2020

健常者におけるアルファ活動ニューロフィードバックが記憶に与える効果:システマティックレビュー・メタ分析

Neurofeedback of Alpha Activity on Memory in Healthy Participants: A Systematic Review and Meta-Analysis

Yeh WH, Hsueh JJ, Shaw FZ.Frontiers in Human Neuroscience

論文ページを開く(doi:10.3389/fnhum.2020.562360

アルファ NF は健常者のワーキングメモリ・エピソード記憶を確かに高める

Yeh et al., 2020

実験内容

1999年1月〜2019年11月までに発表された、健常者を対象としたアルファ NF と記憶の関係を扱った研究を網羅的に検索・選定。16件(アルファ群 210名 / 対照群 217名)を統合し、ランダム効果モデルで標準化平均差(SMD, Hedges' g)を算出した。アウトカムはワーキングメモリ(14件)とエピソード記憶(6件)。

結果

ワーキングメモリでは SMD = 0.56(95% CI 0.31–0.81, p < 0.0001, I² = 28%)、エピソード記憶では SMD = 0.77(95% CI 0.06–1.49, p = 0.03, I² = 77%)と、いずれも有意な改善が確認された。ワーキングメモリ研究は出版バイアスが小さく、リスクオブバイアス評価でも 7 項目中 5 項目で低リスクと判定された。

補足

対象研究
RCT 等 16件(健常者)
参加者数
アルファ群 210名 / 対照群 217名
効果指標
SMD (Hedges' g, ランダム効果モデル)
ドメイン
ワーキングメモリ / エピソード記憶
エピソード記憶
0.77
ワーキングメモリ
0.56
SMD (Hedges' g)(最大 1.0

Yeh, W.-H., Hsueh, J.-J., & Shaw, F.-Z. (2020). Neurofeedback of Alpha Activity on Memory in Healthy Participants: A Systematic Review and Meta-Analysis. Frontiers in Human Neuroscience, 14, 562360. doi:10.3389/fnhum.2020.562360

概要

ニューロフィードバック(NF)が認知機能を高める ─ という主張は古くからされてきたが、研究ごとに参加者・プロトコル・効果指標がばらつき、本当に効くのか、効くとしてどれくらいかは、長く議論の対象であった。本論文は、健常者を対象としたアルファ帯 NF と「記憶」の関係に的を絞り、現時点で得られている知見を量的に統合したシステマティックレビュー・メタ分析である。

対象は 1999 年から 2019 年までに発表された研究のうち、健常者にアルファ NF を実施し、記憶課題でアウトカムを評価していたものを網羅的に選定。最終的に16件(アルファ群210名・対照群217名)が解析対象となった。アウトカムはワーキングメモリ(14件)とエピソード記憶(6件)に分けられ、それぞれに対してランダム効果モデルで標準化平均差(SMD, Hedges' g)が算出された。

結果は明確だった。ワーキングメモリで SMD = 0.56(95% CI 0.31–0.81)、エピソード記憶で SMD = 0.77(95% CI 0.06–1.49)と、いずれも統計的に有意で、量的にも「中〜大きい」とされる効果量に達した。とくにワーキングメモリは異質性が低く(I² = 28%)、研究間のばらつきが小さいことから、結論の信頼度が比較的高い。出版バイアスも小さく、リスクオブバイアス評価でも 7 項目中 5 項目で低リスクと判定された。

ここで重要なのは、対象がいずれも「健常者」だという点である。記憶障害を持つ患者でなく、一般成人でも、アルファ NF を通して記憶機能を引き上げられる可能性があることを意味する。エピソード記憶での異質性(I² = 77%)はやや高く、研究によって効果のばらつきが大きい点には注意が要るが、それでも平均としては有意な改善が観察された。

TUNEプロジェクトは、NF を「臨床的な治療法」だけでなく、健康な人が自分のコンディションを整え・引き上げるためのツールとして位置づけ直したいと考えている。本メタ分析は、その立ち位置を量的根拠から最も強く支える最新のエビデンスの一つである。